生前整理のためにエンディングノートをどう使う?
「エンディングノート」という言葉をご存知の方は多いとおもいますが、実際どのようなものかを知っている方は案外少ないのではないでしょうか。今回はエンディングノートについてお話しします。
エンディングノートとは
エンディングノートは、人生の終末に訪れる死に備え、自分の意思や希望を書きとめておくノートです。
遺言書と同じようなものとお考えの方もいらっしゃいますが、遺言書とエンディングノートはまったく別のものです。遺言書に記された相続財産に関する意向には法的な拘束力がありますが、エンディングノートには法的な拘束力はありません。
では、法律には関係のない遺族への自分の気持ち・想いを記すのがエンディングノートかと言えば、これもそうとは言えません。「自分の死後、兄弟仲良く暮らすように」といったメッセージ、遺言とも違うところがあります。
では、エンディングノートに記されるものはなんでしょう?
実はエンディングノートには二つの大きな側面があります。その一つは「情報の整理」ということです。まず、この点から見てみましょう。
エンディングノートの中身
エンディングノートに記すものを項目に分けると次のようになります。
(1)自分に関すること
ここで言う「自分に関すること」とは学歴など自分のプロフィールのほか、銀行の口座番号や保険証書の番号、クレジットカードの暗証番号、パソコンのパスワードやインターネットの会員番号など、言わば個人情報に関することが主になります。
もちろん預貯金・不動産、あるいは負債など財産に関するものも重要な項目ですが、愛用の品をどうするかということや親戚、友人・知人の連絡先などの記入も大切です。
(2)医療・介護に関すること
ここで言う「医療」とは、ひとつは告知・延命措置についてです。ご自身が自分の希望を伝えられない状態になった場合、どうしてほしいかを記しておきます。また、介護についてどのような形の介護を望むかを記します。
(3)葬儀・お墓について
どのような葬儀を望むか、お墓はどのようなものを望むかを記しておきます。
(4)遺族、また、大切な方へのメッセージ
遺族や親戚・友人、大切な方へのメッセージです。遺言に相当するものと考えて良いでしょう。
エンディングノートの意味
エンディングノートの中身について大まかなところをお話ししました。
遺族への気持ち・想いより、具体的な内容、事務的なことに関するものが多いことに驚かれたかもしれません。しかし、それらは残された家族がしなければならないこと、たとえば死亡通知の発送やクレジットカードの処理といったことにまで必要になるものなのです。
そして、エンディングノートが持つもう一つの大きな側面は「死への心の備え」ということです。
どういうことかと言えば、上にあげた4つの項目を書き記す行為の前提にあるのは、ほかの誰でもない自分の死です。エンディングノートに具体的な内容、事務的なことを記入することは、自分の死をおもうことにつながり、それが自ずと死への心の備えを深めることになるからです。
エンディングノートと生前整理について
死への備えとして、もう一つ「生前整理」ということをお考えの方もいらっしゃるでしょう。
しかし、生前整理を思い立ってもなかなか手がつけられないという方も多いようです。エンディングノートをそのきっかけにしてみてはいかがでしょう。
生前整理には「情報の整理」と「モノの整理」があります。
「情報の整理」とは、先にあげたエンディングノートの記載事項「①自分に関すること」にある友人・知人の連絡先、パソコンのパスワードなど自分にしか分からない可能性のある情報の整理です。
そして、「モノの整理」。これが難しいと言われていますが、エンディングノートを作成するうちに、遺品として残しておきたいもの、処分してもいいもの、その仕分けが見えてくることがあるとおもいます。
親戚・友人の名前・住所をエンディングノートに記入しながら、「あの方にはこの着物を形見分けにもらってほしい。この着物は処分してもいい」、あるいは「彼はものの良さが分かるから、コレクションの中でも大事な品は彼に。そのほかは処分できる」というように、生前整理に必要な仕分けの基準を定める、よいきっかけになるでしょう。
エンディングノートを見返す
エンディングノートは定期的に見返すことが大切だと言われています。
相続に関する法制度の変更も考えられますし、自分の気持ちに変化が生じることもあるからです。
また、エンディングノートを定期的に見返すことは、死への心の備えを深め、そのことがかえって、今日をよりいきいきと生きることにつながるとも言われています。
私たち「やる気グループ」は生前整理についてもお役に立つことができます。私個人は「終活カウンセラー協会」の初級検定に合格、遺品整理認定協会の生前整理技能プロ1級に合格しており、エンディングノートの作成に関してもアドバイスが可能です。
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